マイネーム: 偽りと復讐|마이 네임

『マイネーム: 偽りと復讐』予告編 – Netflix|https://youtu.be/Sx4BkFqYdu4

前々から見たいと思っていた「マイネーム偽りと復讐」。この週末体調を崩してダウンしていたのですが、寝るのに飽きて見てみました。

あらすじとキャスト、何者かに父親を殺された少女が復讐のために生きる物語

日本代ではサブタイトルに「偽りと復讐」と入っているので大体わかると思いますが復讐の物語です。復讐に生きる主人公をハン・ソヒさんが演じています。主人公のジウが復讐のために入っていくのが、亡くなった父親ユン・ドンフンが所属していた麻薬組織。そのボスであり父を親友だったと公言している、チェ・ムジンをパク・ヒスンさん。そして成長したジウがオ・ヘジンとして警察に潜入し、麻薬捜査班でパートナーになるピルトを演じるのがアン・ボヒョンさんです。組織の構成員で、構成員同士の試合のようなものでジウにやぶれた腹いせに、彼女を暴行しようとして組織を追放され、そのことを根に持っているかなり危うい感覚の持ち主のト・ガンジェをチャン・ユルさんが演じています。

ジウ/へジンは、父親が麻薬組織の構成員だったことで学校や地域でも辛い日々を過ごしており、理解者も居ない状況でかなり追い詰められています。その上で父親が殺されるのをドア一枚挟んだところで目の当たりにするというかなりヘビーな体験から恐怖と怒りがないまぜになった感情がすべて復讐に向けられていきます。生きる目的が復讐とすることのヒリヒリするような張り詰めたものがドラマの全編を通して描かれており、かなり見応えのあるお話です。

不思議さも、救いも、解ける魔法もない「千と千尋の神隠し」

このドラマのタイトル「マイネーム」は、ジウの「父親のあだを打ちたい」という気持ちを助ける代わりにへジンという名前で構成員として生きることを選んでいることからつけられており、個人的にはスタジオジブリの「千と千尋の神隠し」を思い出しました。

「千と千尋の神隠し」は、仇討ちではないのでちょっと意味合いは違いますが、これまで過ごしていた社会・コミュニティーでの名前を奪われることで、自分の所属が曖昧になりその心許なさから新たな社会・コミュニティーで生きるしかなくない展開に持っていかれる感じは同じようなものを感じます。ハク、かまじい、リンなど千尋を手助けするようなキャラクターが現れるし、不思議な楽しさもあり、最終的に千/千尋が成長することで本人の見る目というか…視点が定まって魔法が解けるような展開です。

でも「マイネーム」は現実社会で同じように名前を隠してひとつの目的のために手段を選ばず生きることの救いのなさというか、張り詰めた緊張感、後戻りできなくなっていく逃げ場のなさを突きつけてきました。でもその中で必死に戦うジウから目が離せないお話です。

人との関わりがもたらすもの

また、おそらくジウも予想していなかったことだと思いますが、ただ目的のために生きているつもりでも、人と関わることで考え方や心のありように変化があるということ。麻薬組織に所属し、自分に特別目をかけてくれている父の親友チェ・ムジンとは成長するにつれ師弟関係のようなものが生まれ信頼関係を築いていきます。その後警察官として警察に潜入し、構成員以外の人と関わり始めると、彼らとの会話や暖かさの中で張り詰めたものがゆるむ感覚が生まれたり、自分の考えが揺らぐ部分が出てきます。彼女を理解しようとしてくれる人が現れたり、知らなかった事実が明らかになっていきます。

ジウを必ず守ると約束したムジンですが、ジウとの信頼関係が少しずつ不安定になっていくことで、疑心暗鬼に駆られるようになっていきます。彼は冷酷ですし、悪行もたくさん働いていますが、それは一般社会からの視点であり、彼には彼の世界でのルールがあるようで、それが揺らぐことで冷静さを失っていきます。本当に自分を心配してそばにいるひとの声が聞こえなくなっていく。そのじわじわと崩れていく感じも見ていてとてつもなく息苦しいです。

全体を通してアクションがすごい!

このドラマは、全体的にアクションシーンがかなり多くて、ハン・ソヒさんもガンガンに戦いまくっています。記事によると、10kg増量して挑んだとのことで、もちろんそれでもスレンダーなんですが、ギュッと詰まった感じのスタイルになっており本当にカッコよかったです。

『マイネーム: 偽りと復讐』舞台裏映像 – Netflix|https://youtu.be/GvkiR-LgLGs

見るのにカロリーがいるので病気療養中に見るものではなかった…

冒頭で、体調不良で休んでいる時に見たと書きましたが、いくら治りかけだったとはいえ体調が悪い時に見るものではなかったなという反省点を今感じています。見始めたら先が気になるのと、韓国の連続ドラマのように1時間を超えるものが16話続くとかではなく、NETFLIXオリジナルで1時間×8話だったおかげでなんとかギリギリ見終えたという感想です。というかあの熱量で16話は演者たちも持たないかもですね。そのくらいぎゅっと詰まった作品で、とても面白かったです。あまりに張り詰めてすごしたので、なにか別のものでヒーリングしなくては…となり、「賢い医師生活」を続けて再度見ているところです。「賢い医師生活」は本当に裏切りません。心が整います。